斎藤報恩会の博物館

斎藤報恩会の博物館が、この3月で閉館する。ニュースの書く「東北の自然史研究をけん引してきた」は、まったき過小評価である。
おなじニュースで、「「研究博物館的な場所がなくなるのは寂しい限り」」と理事長は言う。「研究博物館的」の意味の社会性、歴史性を、どれだけの人が注意するだろうか。
これまで私は、満洲国国立中央博物館や資源科学研究所、大東亜博物館に言いおよぶ際、斎藤報恩会博物館をよく参照してきた。斎藤報恩会博物館は先駆であった。そしていま、これら博物館近代化の運動の主流、そのすべてが退場することになる。「博物館という観念の終焉」の徴証と言いうるが、かつて反東京科学博物館を指し示したこれらは、戦後、国立科学博物館に剽窃、隠蔽され、爾後、反博物館を生かされてもゆくのであろう。
「河北新報ニュース 斎藤報恩会自然史博物館が3月閉館 仙台」(www.kahoku.co.jp/news/2009/01/20090105t15017.htm)

斎藤報恩会自然史博物館が3月閉館 仙台

 東北で発見された化石標本など貴重な資料を展示する仙台市青葉区の「斎藤報恩会自然史博物館」が3月、閉館することになった。運営する財団法人斎藤報恩会(斎藤温次郎理事長)によると、財政難が影響したという。東北の自然史研究をけん引してきた75年の歴史に幕を下ろす。

 閉館後は、従来行ってきた学術研究への助成を中心に事業を続ける。規模を縮小した新展示スペースを今年中にも開設することも検討する。

 博物館は1933年に開館した。貝類や魚類の化石標本、ナウマン象骨格、鳥類のはく製など約10万点を収蔵。収蔵品の一部を展示する常設展と、年に2、3回の特別展を開催し、市民に親しまれてきた。

 近年は建物の老朽化に加え、収蔵品の保管、収集のコストが財政を圧迫。数年前から事業見直しを進めていた。

 科学関連の収蔵品のほとんどは2006年、東京・上野の国立科学博物館に寄贈した。昨年6月には常設展を休止した。

 最後の特別展として、10日―3月8日に「ようこそ恐竜ラボへ!」を開催。化石を中心に最先端の恐竜研究を紹介する。国立科学博物館も24日―2月22日、報恩会の足跡をたどる企画展を開く。

 自然史博物館の土地と建物は07年に売却済み。報恩会は賃貸契約が切れる3月、仙台市青葉区の西公園近くに移転する。斎藤理事長は「研究博物館的な場所がなくなるのは寂しい限り。今後は現在の展示物をコンパクトにまとめ、記念館のような場所を造りたい」と話している。

2009年01月05日月曜日

〔写真のキャプション〕3月に閉館することになった斎藤報恩会自然史博物館

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